第15回アンデルセン公園きりがみコンクール
入賞作品発表

第15回を迎えた「アンデルセン公園きりがみコンクール」には、小学生以下の部1,371点、中学生の部390点、一般の部207点、応募総数1,968点の作品が寄せられました。たくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。今回も多くの地域から、力作揃いの素晴らしい作品が集まりました。

審査員

特別審査員|駐日デンマーク王国大使
Peter Taksøe-Jensen(ピーター・タクソ-イェンセン)
審査員長|切り紙研究家/東京造形大学講師
下中菜穂
審査員|イラストレーター/多摩美術大学グラフィックデザイン学科准教授
高橋庸平
審査員|水彩画家/造形作家
平野ニーナ
詩(うた)
アンデルセン公園きりがみ大賞

詩(うた)
筒井千代

町をあるくはだかの王さま
アンデルセン公園子ども美術館賞

町をあるくはだかの王さま
山本琉稀

まっててね、カイ
デンマーク大使賞

まっててね、カイ
山上楓果

おやゆびひめつばめの上にのっている
オーデンセ市賞

おやゆびひめつばめの上にのっている
千葉幸花

ざわめく街のパレード
アンデルセン博物館賞

ざわめく街のパレード
山内沙紀

おどってる人
ヴィレ・ヴァウ賞

おどってる人
曽小川瑞生

人魚姫
我が生涯の物語賞

人魚姫
天羽間ソラノ

生きた女の子
日本デンマーク協会賞

生きた女の子
山崎佑真

影はどこに?
船橋市長賞

影はどこに?
Mayuko

カサを持ったおじさん
船橋市教育長賞

カサを持ったおじさん
藤木柚人

目の前に美しい王子が
一般の部|優秀賞

目の前に美しい王子が
川井惠津子

ひなぎくのこころ
一般の部|優良賞

ひなぎくのこころ
今西真己

Daydream
一般の部|優良賞

Daydream
山根佐知子

羽ばたく未来
一般の部|優良賞

羽ばたく未来
佐藤圭子

おどりつづける少女
中学生の部|優秀賞

おどりつづける少女
市川姫輝

インキつぼからの誕生
中学生の部|優良賞

インキつぼからの誕生
飯坂晴

悲しい海
中学生の部|優良賞

悲しい海
秋永橘香

インゲル落ちた
中学生の部|優良賞

インゲル落ちた
野村奏太

カウボーイの王様
小学生以下の部|優秀賞

カウボーイの王様
渡辺蓮翔

きけん食べられそう。
小学生以下の部|優良賞

きけん食べられそう。
森彪彦

空とぶトランク
小学生以下の部|優良賞

空とぶトランク
山田一翔

空をとんでる白鳥
小学生以下の部|優良賞

空をとんでる白鳥
新島光織

アンデルセン公園きりがみ大賞/筒井千代

アンデルセン公園きりがみ大賞

詩(うた)

アンデルセン童話:フェニックス

筒井千代   (つつい ちよ)

日本デザイナー芸術学院 / 一般  ( 岐阜県美濃市 )

講評

不死鳥という掌編は、それ自体が1篇の詩です。様々な場所にふわりと現れるキラキラと光る不死鳥。それこそが詩なのだと。つまり、目を凝らし耳を澄ませば、あらゆる場所に詩が存在するのだということ。言葉は美しい形となり、形は言葉を導きだす。あなたの作品は言葉と形のあわいを往還する詩の姿を象徴的に描き、物語の本質をずばりと表現しました。アンデルセンの創作の根っこに深く触れる作品です。詩は不死鳥の如く何度でも甦り形を変えて生き続けることでしょう。(下中菜穂/審査員長)

フェニックスが棲むとされるアラビア世界を思わせる文字絵の表現が美しい作品です。そのシルエットは大きなアオサギのような霊鳥、フェニックスのモデルとも言われるベンヌの姿が形作られています。この作品を仕上げるために、アンデルセンが紡ぎ出した『フェニックス』の物語の言葉をひとつひとつ切り出した姿を想像すると、きっと祈りの儀式のようだったと思います。その結果として「詩(うた)」を感じることができるのです。(高橋庸平/審査員)

フェニックスバードを知っていますか?とアンデルセンは聞いています。この短いストーリーを知る人は少ないでしょう。作者はこの話を、出来得る最も美しい方法で表現しています。素晴らしい。(平野ニーナ/審査員)

アンデルセン公園子ども美術館賞/山本琉稀

アンデルセン公園子ども美術館賞

町をあるくはだかの王さま

アンデルセン童話:はだかの王様

山本琉稀   (やまもと るき)

MO絵画教室 / 年中  ( 埼玉県さいたま市 )

講評

なんて大きな王冠でしょう!王様の上でやじろべいのようにゆらゆらしています。不釣り合いに大きい、権威のしるしを頭にのせて王様は目を白黒させています。今、目の前にあるもの、自分の目で見えるものを信じることのできなかった、みえっぱりの王様。その危うい姿を笑いとばすパワーがあふれています。(下中菜穂/審査員長)

画面いっぱいに大きく広げた両手、顔よりも大きな王冠、口を真一文字に結んだ表情。これらすべての要素が、王様がいばっている姿を上手に表現しています。このように王様が偉そうであるほど、この物語の結末はより面白く感じられるのです。また、王冠の飾りやパンツの色がオシャレで、とても美しく画面を引き締めています。(高橋庸平/審査員)

何処からこんな発想が降りてくるのか…本当に天晴れ!こんな作品と出会えるから、切り紙は面白い。(平野ニーナ/審査員)

デンマーク大使賞/山上楓果

デンマーク大使賞

まっててね、カイ

アンデルセン童話:雪の女王

山上楓果   (やまがみ ふうか)

横浜市立上寺尾小学校 / 小1  ( 神奈川県横浜市 )

講評

昨年同様今年も力作が多く大変悩みましたが、構図と色合い、そして真っ暗な森でまっすぐ前を見て進むゲルダの強さに惹かれ選びました。また、例年多くの方が選ぶアンデルセン作品ではなかったことも決め手となりました。「雪の女王」ではゲルダのカイを想う強い気持ちがゲルダに辛い困難を乗り越えさせます。そして、ゲルダの涙が魔法を解き、カイに温かい心を取り戻させるのです。この物語は、相手を想い愛情を注ぐことで絆を取り戻すことができるというだけでなく、ゲルダ自身の成長の物語でもあり、人のために何かをすることで学びがある、とも教えてくれています。現代の私たちにとっても大切な教えではないでしょうか。(ピーター・タクソ-イェンセン/駐日デンマーク王国大使)

トナカイの背に乗ってラップランドに向かって走り続けるゲルダ。その背景にはオーロラが光り輝いています。そんな大切な場面がドラマチックに表現されていて、目を引く作品となっています。薄く透ける紙を線状に重ね合わせる工夫によって、カーテンのような美しいオーロラが形作られています。(高橋庸平/審査員)

オーデンセ市賞/千葉幸花

オーデンセ市賞

おやゆびひめつばめの上にのっている

アンデルセン童話:親指姫

千葉幸花   (ちば さちか)

船橋市立小室小学校 / 小1  ( 千葉県船橋市 )

講評

[翻訳]「親指姫」の作品が選ばれた理由は、未知への世界を目指している情景を見る者が強く感じるからです。ツバメは大きく翼を広げ、少女のなびく髪はその速さを物語っています。鳥と少女は川の真上を飛んでおり、これまで親指姫が生活してきた既知の世界と、新たな未知の世界とを分けています。既知の世界は木々や建物が描かれ、未来は歴史がこれから描かれるための、何もない空白です。この切り紙の表現はとても上手くいっており、親指姫が川の向こう側で何を見つけるのか興味津々です。

[原文]The clip Thumbelina is chosen because it gives the viewer the feeling of being on the way to the unknown. The swallow has fully spread its wings, and the girl's fluttering hair tells of the speed. The bird and the girl are flying precisely above the river, which separates the known world where Thumbelina has lived her life so far from the new unknown world. The known world is represented by trees and built structures, while the future is a blank piece of paper where history must first be written. The cut is very successful and makes us curious as to what Thumbelina might find on the other side of the river.
Mads Runge/Head of development, H.C. Andersen’s House & Carl Nielsen Museum

親指姫と一緒に、ツバメの背中に乗って空を飛んだら、どんな気持ちでしょう。遠い空から川や森はどんなふうに見えるかな。この場面がお気に入りだというあなた。物語を読みながら、きっと一緒に空を飛んでいたのですね。縦一本に貫かれた川、横一列に並んだ木々、四角い家(かな?)。この潔い構図が、大空の中に浮かぶ開放感を存分に伝えてくれています。吹き抜ける風がいい気持ち!(下中菜穂/審査員長)

アンデルセン博物館賞/山内沙紀

アンデルセン博物館賞

ざわめく街のパレード

アンデルセン童話:はだかの王様

山内沙紀   (やまうち さき)

一般  ( 埼玉県志木市 )

講評

[翻訳]「皇帝の新しい服」の作品は、美しい構図や印象的な色彩の選択など技術的に優れ、その素晴らしい構想は、童話のポイントを見事に捉えています。そのため世界的に有名な童話であることが一目でわかります。さらに、この切り紙は言葉に表せない微妙なストーリーを表現しています。独りよがりの皇帝と、匿名の群衆から目立つことを拒み、質問する勇気もない無口な人々を、ユーモアを交えて見事にとらえています。そして、最前列の横顔のシルエットとその表情を見事に描いた表現は、観客の驚きまでも暗示しています。

[原文]The Emperor’s New Clothes paper cut is technically well-executed with a beautiful composition and striking color choices, that excellently supports the fairy tale's points. Additionally, there is an immediate recognition of the world-famous fairy tale. At the same time, the cut tells a nuanced story without words. It excellently captures, with humor, the self-important emperor and the silent population who, in their anonymity, refuse to stand out from the crowd and dare not ask questions. However, the paper cut also hints at the wonder that arises in the spectators' gaze, finely illustrated by the expressions and shapes of the faces in the front row.
Mads Runge/Head of development, H.C. Andersen’s House & Carl Nielsen Museum

ふんぞり返った太鼓腹の王様。しょうもないけど、何だかちょっと愛らしい。むしろそれを取り巻く人々のシルエットの不気味さが気になります。自分の目よりも偽りの言葉を信じ込んでしまう、あるいは、権威や世間の視線の前に沈黙してしまう、そんな大人たちの姿に見えるのです。子どもの「王様は裸だ!」という声で、目を覚ますことができればいいのですが、、、。(下中菜穂/審査員長)

ヴィレ・ヴァウ賞/曽小川瑞生

ヴィレ・ヴァウ賞

おどってる人

アンデルセン童話:赤い靴

曽小川瑞生   (そおかわ みずき)

船橋市立宮本小学校 / 小3  ( 千葉県船橋市 )

講評

[翻訳]「赤い靴」の切り紙が選ばれたのは、動きに満ちているからです。女の子を右側に配置することで、彼女が絵の外に出ようとしているのか、または中に入ろうとしているのか、そんな印象を与えます。靴はほとんど画面から転げ出たり入ったりし、女の子はただそれに従うだけに見えます。服や髪も動いており、彼女が靴を制御できていないことを示しています。青い服と背景色は赤い靴を引き立て、絵の構図の重要な部分として強調されています。

[原文]The paper cut about The Red Shoes is chosen because it’s full of movement. By placing the girl on the right side, we get the impression that she is either on her way out or into the picture. The shoes almost tumble in/out of the picture and the girl just seems to go along without being master of them. The girl's clothes and hair are also in motion and understate her lack of control over the shoes. The blue clothes and the background color are complementary to the red shoes and highlight them as the important part of the composition of the picture.
Mads Runge/Head of development, H.C. Andersen’s House & Carl Nielsen Museum

身体を弓のように反らせ、髪をなびかせて踊る少女。それが、ぐっと画面の右側に寄って配置されているのが目をひきます。次の瞬間には左側の広い空間に向かって、バネが弾けるように大きく動き出しそうにみえます。赤い靴の強い力に操られて、踊り続ける少女の狂おしい「動き」が感じられます。(下中菜穂/審査員長)

我が生涯の物語賞/天羽間ソラノ

我が生涯の物語賞

人魚姫

アンデルセン童話:人魚姫

天羽間ソラノ   (あまはま そらの)

一般  ( 神奈川県小田原市 )

講評

[翻訳]「人魚姫」の本質を美しく表現した、魅力的なイラスト的切り紙です。緻密な精度と繊細なタッチで作られています。この作品は、愛と憧れが波の下で交差する魅惑的な世界に見る者を誘います。生と死、感情と運命の渦巻くダンスに巻き込まれた人魚姫と王子の魅惑的な描写、ネガティブな空間と複雑な切り抜きを巧みに利用した構図が、動きと流動感を呼び起こし、私たちを魅了します。人魚姫の優雅な尻尾が二人を取り囲むように広がり、王子への愛の波乱に満ちた旅を象徴するダイナミックな渦を形成しています。繊細なディテールと精巧な職人技によって、作家は人魚姫の内なる葛藤と、彼女の愛と憧れのほろ苦さの本質を巧みに捉えています。繊細な切り抜きと複雑な模様のひとつひとつが質感と立体感を与え、全体の視覚的インパクトを高め、見る者をアーティストの職人技に驚嘆させます。これは愛と憧れの不朽なる力と、童話の永遠の魅力を証明したものです。

[原文]It is a captivating papercut illustration that beautifully encapsulates the essence of "The Little Mermaid." Crafted with intricate precision and a delicate touch. The piece invites viewers into a mesmerizing world where love and longing intertwine beneath the waves. The enchanting portrayal of The Little Mermaid and the prince, caught both in a swirling dance of life and death, as well as emotions and destiny, and with a composition that masterfully utilizes negative space and intricate cutouts to evoke a sense of movement and fluidity, captivates the viewer. The mermaid's graceful tail unfurls around them, forming a dynamic vortex that symbolizes the tumultuous journey of her love for the prince. Through subtle details and exquisite craftsmanship, the artist skillfully captures the essence of The Little Mermaids inner turmoil and the bittersweet nature of her love and longing. Each delicate cut and intricate pattern adds texture and dimension, enhancing the overall visual impact and inviting viewers to marvel at the artist's craftsmanship. It is a testament to the enduring power of love and longing and the timeless appeal of fairy tales.
Mette Genz/H.C.Andersen Priskomite

切り絵の名手でもあったアンデルセンの作品を彷彿とさせる、対角線による直角四つ折りで作られた切り絵。作者はすばらしい技術を持っています。人魚姫と美しい人間の王子、魚、波、そして海の魔女。これら『人魚姫』の物語を構成する要素の数々を上手く組み合わせて、美しい画面を作り出しています。(高橋庸平/審査員)

日本デンマーク協会賞/山崎佑真

日本デンマーク協会賞

生きた女の子

アンデルセン童話:マッチ売りの少女

山崎佑真   (やまざき ゆうま)

船橋市立宮本小学校 / 小3  ( 千葉県船橋市 )

講評

マッチをつけた一瞬、真っ暗闇の中に浮かび上がる少女の孤独で寂しげな姿を見事なコントラストを以って描いた秀作である(佐野利男/日本デンマーク協会会長)

夜の闇の中に、小さな少女の姿が浮かび上がっています。マッチの炎が消えた瞬間、あたたかいストーブや七面鳥、飾り付けられたクリスマスツリーの幻影が消えた瞬間の寂しさが感じられました。また、少女が身につけている洋服のつぎはぎの表現が、切り紙の面白さを生かした表現になっています。(高橋庸平/審査員)

船橋市長賞/Mayuko

船橋市長賞

影はどこに?

アンデルセン童話:影

Mayuko   (まゆこ)

一般  ( 東京都 )

講評

この作品は、単に技術的に優れているだけでなく、長く観察していると、様々な物語が浮かび上がってきます。それは、作品が持つ深い意味を感じさせるものです。影法師をテーマにしているため、童話に親しんでいる人々には、その感覚を一層強く感じさせるでしょう。また、その童話を知らない人でも、じっくりと観察すれば、この不思議な内容を通じて、多くの発見に導かれる作品だと思います。技術的な面でも、非常に素晴らしいと感じます。(松戸 徹/船橋市長)

『影』の物語のラストシーンが、書籍の表紙と裏表紙のように左右に分かれたレイアウトで表現されています。そこに描かれたモノクロームの世界は、19世紀末のヨーロッパで描かれた文学のイラストレーションを彷彿とさせます。その表現は、学者と影の関係を描いたミステリアスな物語の世界と良く調和しています。(高橋庸平/審査員)

船橋市教育長賞/藤木柚人

船橋市教育長賞

カサを持ったおじさん

アンデルセン童話:眠りの小人のオーレおじさん

藤木柚人   (ふじき ゆずと)

船橋市立夏見台小学校 / 小5  ( 千葉県船橋市 )

講評

この作品は、現在の努力と過去の苦労から新たな目標に向けて一歩ずつ進む決意を描いているように感じます。その決意が、作品を通じて強く伝わってきます。特に、明かりに向かって自分の目標に進む様子は、観る者にとっても鼓舞される瞬間であり、作品の魅力の一つだと感じます。(松本 淳/船橋市教育長)

夜になっても起きている子どもに忍び寄るオーレ・ルゲイエ。その手に持っているのは、楽しい夢が見られる絵の描かれたカサと、夢を見ることができない何も描かれていないカサ。そんな場面が描かれている一枚ですが、ひっそりと階段を登っていくときの静けさが、画面右の大きな余白によって感じられます。(高橋庸平/審査員)

一般の部|優秀賞/川井惠津子

一般の部|優秀賞

目の前に美しい王子が

アンデルセン童話:人魚姫

川井惠津子   (かわい えつこ)

一般  ( 大阪府枚方市 )

講評

切り紙の楽しみのひとつは、思いがけない形のキリカスで、いつの間にか机の上がいっぱいになること。そのカラフルな紙片を眺めていると、いつのまにかそこから物語が紡ぎ出されます。「人間になった人魚姫が王子と出会う場面の初々しい心を想像しながら作った」という作者。なるほど、抽象的であるがゆえ、より一層ひとつひとつの色や形の持つリズムが心の動きを表すものとして強く感じられます。(下中菜穂/審査員長)

一般の部|優良賞/今西真己

一般の部|優良賞

ひなぎくのこころ

アンデルセン童話:ヒナギク

今西真己   (いまにし まき)

一般  ( 奈良県奈良市 )

講評

一見すると、グレーの地にヒナギクの花が一輪というシンプルな構成に見えます。油断すると見過ごしてしまいそうなのですが、よく見てみると筒状花にヒバリの姿が同化していて、その姿がぼんやりと浮かび上がってきます。とても繊細なヒナギクの想いを丁寧に掬い取るように表現された作品となっています。(高橋庸平/審査員)

一般の部|優良賞/山根佐知子

一般の部|優良賞

Daydream

アンデルセン童話:親指姫

山根佐知子   (やまね さちこ)

一般  ( 福岡県福岡市 )

講評

デリケートな色使いが上品で綺麗。そしてとてもラブリー。アートを感じさせる1枚。(平野ニーナ/審査員)

一般の部|優良賞/佐藤圭子

一般の部|優良賞

羽ばたく未来

アンデルセン童話:みにくいアヒルの子

佐藤圭子   (さとう けいこ)

一般  ( 東京都荒川区 )

講評

身近にあふれる印刷物。さっくりとハサミを入れ、かたちを切り出すと、そこに記された文字は、白鳥の体の陰影となり、作者がそっと忍ばせたメッセージになりました。その小さなメタモルフォーゼは白鳥の子のそれとちょっぴり重なります。印刷物の中から「未来」と「不安」という言葉を選び出し、「あなたには、美しい未来へ羽ばたく翼があると教えてあげたい」と書いたあなた。それはきっとあなた自身への言葉なのですね。(下中菜穂/審査員長)

中学生の部|優秀賞/市川姫輝

中学生の部|優秀賞

おどりつづける少女

アンデルセン童話:赤い靴

市川姫輝   (いちかわ ひかり)

船橋市立古和釜中学校 / 中1  ( 千葉県船橋市 )

講評

少女カーレンの反り返ったようなポーズは、赤い靴に振り回されているように見えます。その動きからは、老婦人の言うことをきかずに教会に赤い靴を履いて行ったカーレンに対する呪いの恐ろしさを窺うことができます。また、背景の楽譜を切り抜いて作られた音楽の表現にリズムやメロディを感じることができて、オリジナリティを感じました。(高橋庸平/審査員)

中学生の部|優良賞/飯坂晴

中学生の部|優良賞

インキつぼからの誕生

アンデルセン童話:ペンとインキつぼ

飯坂晴   (いいさか はる)

船橋市立古和釜中学校 / 中1  ( 千葉県船橋市 )

講評

詩人の手にかかれば、あらゆるものがインキつぼから生み出されます。この作品では、そんな様子がダイナミックに表現されています。詩人にとっての創作の源はインキつぼですが、僕たちにとってはハサミと紙です。これらの道具を通して、美しいものを生み出す芸術の力を、切り紙で見事に表現してくれています。(高橋庸平/審査員)

中学生の部|優良賞/秋永橘香

中学生の部|優良賞

悲しい海

アンデルセン童話:人魚姫

秋永橘香   (あきなが きっか)

新宿区立西早稲田中学校 / 中1  ( 東京都新宿区 )

講評

渦に吸い込まれて小さくなってゆく人魚姫。その切ない想いが、海の赤でとてもよくわかります。(平野ニーナ/審査員)

中学生の部|優良賞/野村奏太

中学生の部|優良賞

インゲル落ちた

アンデルセン童話:パンを踏んだ娘

野村奏太   (のむら そうた)

船橋市立古和釜中学校 / 中1  ( 千葉県船橋市 )

講評

パンを踏んだインゲルが真っ逆様に落ちていく。どこに?暗い奈落の底に落ちていく。暗闇の中にカラフルな紙片をばら撒いたようなこの作品。なぜだか心惹かれます。ヒラヒラと舞う紙片の軽やかさが、どこまでも落下していく浮遊感を醸し出しているからかもしれません。(下中菜穂/審査員長)

小学生以下の部|優秀賞/渡辺蓮翔

小学生以下の部|優秀賞

カウボーイの王様

アンデルセン童話:はだかの王様

渡辺蓮翔   (わたなべ れんと)

船橋市立宮本小学校 / 小3  ( 千葉県船橋市 )

講評

王様のファッショナブルな青いガウンは、彼に自信をくれるようですね。満足げな様子が伝わってきます。(平野ニーナ/審査員)

小学生以下の部|優良賞/森彪彦

小学生以下の部|優良賞

きけん食べられそう。

アンデルセン童話:すずの兵隊

森彪彦   (もり とらひこ)

船橋市立湊町小学校 / 小3  ( 千葉県船橋市 )

講評

まぁ!なんてドラマチック!兵隊と踊り子はやっと一緒になれましたね。デザインと色彩が魅力的で、何度も見返したくなります。(平野ニーナ/審査員)

小学生以下の部|優良賞/山田一翔

小学生以下の部|優良賞

空とぶトランク

アンデルセン童話:空飛ぶトランク

山田一翔   (やまだ いちと)

四街道市立四街道小学校 / 小2  ( 千葉県四街道市 )

講評

画面を2つに分け、右上の端に鳥を配置することで、男が空高く飛んでいるのが容易に想像できます。シンプルにそれが計算されています。(平野ニーナ/審査員)

小学生以下の部|優良賞/新島光織

小学生以下の部|優良賞

空をとんでる白鳥

アンデルセン童話:みにくいアヒルの子

新島光織   (にいじま みつき)

船橋市立宮本小学校 / 小3  ( 千葉県船橋市 )

講評

物語を読みながら、白鳥と一緒に空を飛ぶ。かつて私も、そんな体験をいっぱいしながら大人になったのだということを思い出させてくれました。小さく、点々と見える木々や山や池、そんな気持ちのいい風景の中を飛ぶ白鳥の気持ちが伝わってきました。(下中菜穂/審査員長)

Peter Taksøe-Jensen

特別審査員
駐日デンマーク王国大使

Peter Taksøe-Jensen
(ピーター・タクソ-イェンセン)

略歴:1986-1987 デンマーク法務省課長、1988-1989 デンマーク外務省課長、1989-1992 駐オーストリアデンマーク王国大使館一等書記官、1992-1995 デンマーク外務省安全保障政策課課長、1995-1999 欧州連合デンマーク政府代表部部長、1999 欧州連合デンマーク政府代表部参事官、1999-2003 デンマーク外務省法務局課長、2003-2008 デンマーク外務省法務局長、2008-2010 国連本部法務局次長、2010-2015 駐米デンマーク王国大使、2015-2019 駐インドデンマーク王国大使(ブータン、モルディブ、スリランカ、ネパール兼任)2019年9月より現職
その他実績:1999-2008 EU法、EUの政策・交渉及びEUの手続きや技術的事項について講義、2002-2003 デンマーク文化省公文書保管法委員会委員、2004-2008 デンマーク法務省司法委員会委員、2000-2007 デンマーク政府赤十字委員会副委員長、2007-2008 デンマーク政府赤十字委員会委員長、2010-2015 米国デンマークビジネス・カウンシル会長、2010-2015 米国トレード・カウンシル会長、2015- 南アジアトレード・カウンシル会長、2016 「デンマーク外交と防衛政策の推移~デンマークの外交及び安全保障政策~」報告書統括、2016-2018 ハーグ常設仲裁裁判所(PCA)によりオーストラリア・東ティモール間の海洋境界線調停委員会委員長に任命
受章:ダンネブロ騎士勲章3等級(Knight 1st Class)

下中菜穂

審査員長
切り紙研究家/東京造形大学講師

下中菜穂

千葉県生まれ/江戸時代の『紋きり遊び』を通して「かたち」に込められた祖先の暮らしぶりや精神を紹介。「文様を暮らしの中で楽しむ」文化、手仕事を現代に蘇らせるべく、出版やワークショップ、展覧会などで活動。中国の農村、東北の「きりこ」などもフィールドワークし、世界や日本の今も活きている切り紙の文化を研究。著書に『紋切り型』のシリーズ(エクスプランテ)、『こども文様ずかん』(平凡社)、『切り紙もんきり遊び かたちを贈る』(宝島社)など他多数。

高橋庸平

審査員
イラストレーター/多摩美術大学准教授

高橋庸平

千葉県生まれ/多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了、博士号取得
故・秋山孝氏に長年にわたり師事し、イラストレーターとしても国内外において数々の受賞歴がある。主な受賞にFUKUDAポスター大賞2005 最優秀賞、日本ブックデザイン賞2016ブックジャケット・文庫版部門 金の本賞、モスクワ国際グラフィックデザインビエンナーレ2016 Golden Bee賞(ロシア)、グラフィスポスター年鑑2021 金賞(アメリカ) ほか

平野ニーナ

審査員
水彩画家/造形作家

平野ニーナ

デンマーク・コペンハーゲン出身/フランスではアルベルト・ジャコメッティーやシャガール、ミロなどの多くの有名な芸術家の取材に立ち会うなど恵まれた環境の中で育まれた豊かな感性に日本古来の美との出会いから新たに生まれた高い芸術的世界観を持ち合わせて、個展や地域の芸術普及を目的とした活動を若手作家とともに行っている。

作品の応募状況

応募の内訳(点数)

一般の部 207
中学生の部 390
小学生以下の部 1,371
総計 1,968

応募があった地域(29都道府県)

北海道・ 宮城県・ 秋田県・ 山形県・ 茨城県・ 栃木県・ 埼玉県・ 東京都・ 神奈川県・ 新潟県・ 富山県・ 福井県・ 長野県・ 岐阜県・ 静岡県・ 愛知県・ 三重県・ 大阪府・ 兵庫県・ 奈良県・ 鳥取県・ 島根県・ 岡山県・ 広島県・ 福岡県・ 大分県・ 宮崎県・ 沖縄県・ 千葉県 ( 千葉市・ 市川市・ 船橋市・ 松戸市・ 成田市・ 東金市・ 旭市・ 習志野市・ 柏市・ 市原市・ 八千代市・ 鎌ヶ谷市・ 四街道市・ 袖ヶ浦市・ 八街市・ 白井市・ 香取市・ 横芝光町 )

第15回アンデルセン公園きりがみコンクール

「人魚姫」「裸の王様」などの童話で有名なデンマークの作家、ハンス・クリスチャン・アンデルセンが“切り紙”の名手だったことを知っていますか? 彼は子どもたちに童話を聞かせながらハサミを走らせ、ファンタジーあふれる素晴らしい作品を数多く残しました。紙とハサミがあれば、いつでもどこでも誰でも楽しめる“切り紙” 。あなたにしかつくれない「きりがみ」をお待ちしています。

第15回アンデルセン公園きりがみコンクール

募集について

テーマ

「アンデルセン童話」に関するもので、折り方や切り方を工夫し、創造的なもの

対象

子どもから子どもの心をもった大人まで

期間

2023年4月23日(日)〜2023年12月15日(金)<消印有効>

要項

当コンクールについて、詳しくは募集要項(PDF)をご覧ください。

募集要項  応募票(教育機関向け) 

※リンク先を任意の場所に保存し、お使いください。
※保存したファイルは、推奨環境(Adobe Acrobat Reader)にてお使いください。
※お使いの環境によっては動作しない場合がございます。

<予定>

・アンデルセン公園きりがみ大賞:1点
副賞:デンマークへの旅「アンデルセンの足跡をたどる」1名様ご招待
・アンデルセン公園子ども美術館賞:1点
・デンマーク大使賞:1点
・オーデンセ市賞:1点
・アンデルセン博物館賞:1点
・ヴィレ・ヴァウ賞:1点
・我が生涯の物語賞:1点
・日本デンマーク協会賞:1点
・船橋市長賞:1点
・船橋市教育長賞:1点
・各部門賞
「一般の部、中学生の部、小学生以下の部」から各部門の、優秀賞:1点、優良賞:3点