第3回 アンデルセン公園 きりがみコンクール
受賞作品発表
   
     
 
   
     
 
小学生以下の部971点、中学生の部324点、一般の部102点、
応募総数1397点の作品が寄せられました。
10月24日(月)子ども美術館にて以下の審査員により選考が行われ、
それぞれの賞に相応しい作品が選出されました。
 
 
     
  <審査員>
・秋山 孝 (イラストレーター・多摩美術大学教授)
・牧野 圭一 
(漫画家・京都造形芸術大学マンガ学科教授)
・鈴木 エリザベータ 
(切り紙師・スイス国籍)
・柴田 孝利 
(アンデルセン公園子ども美術館長)

-審査風景-

     
 
   
   
     
 
【全部門】
アンデルセン公園きりがみ大賞
 「子兎」 吉澤 佳奈 (船橋市・中1)
アンデルセン公園子ども美術館賞
 「カメレオンちょう上をめざせ」 河村 慶弥(船橋市・小4)
デンマーク大使賞
 「おやすみなさい」 小松 幸子(船橋市・48才)
オーデンセ市賞
 「赤い靴」 荒井 仁志(松戸市・18才)
ティンダーボックス賞
 「雪の中でたたかうりゅう」 長谷川 明(千葉市・小3)
船橋市長賞
 「白鳥」 岡田 守弘(東京都・18才)
船橋市教育長賞
 「つながり」 緒方 和奏(八千代市・中1)
【小学生以下の部】
優秀賞
 「夜の町」 武井 萌(船橋市・小5)
優良賞
 「夕がたのハワイ」 鎌田 絵里奈(船橋市・小5)
優良賞
 「森の神様」 長谷川 智(船橋市・小3)
優良賞
 「真夜中の空」 薄井 康輔(八千代市・小5)
【中学生の部】
優秀賞
 「shine fairy(輝く 妖精)」 本間 菜月(船橋市・中1)
優良賞
 「物語の始まり」 酒井 瑞穂(船橋市・中3)
優良賞
 「孤独のバラ」 高橋 里沙(船橋市・中1)
優良賞
 「不思議の国のアリス」 遠藤 歩(船橋市・中3)
【一般の部】
優秀賞
 「猫さん何匹だぁ〜?」 井上 瑞穂 (東金市・67才)
優良賞
 「大切なもの」 水野 初恵(船橋市・51才)
優良賞
 「りんごの木」 斉藤 由紀子(船橋市・34才)
優良賞
 「月と花たち」 箕浦 照代(船橋市・64才)
 
     
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●アンデルセン公園きりがみ大賞

「子兎」

吉澤 佳奈 (船橋市・中1)
 子兎の描写は特筆もので、卓越したデッサン力が感じられます。優しく豊かな輪郭線、繊細な髭や足の爪、両目の表情に至るディテール(細部)の表現力は本当に素晴らしい。また、風合いのある日本的な色面の印象は、そのまま京都和菓子の包装紙を連想させます。切り紙の様々な技法やアイデアを駆使した多くの応募作品の中にあって、最後は清楚で簡潔な作風に審査員の心が動き、新鮮な印象を強く残しました。
●アンデルセン公園子ども美術館賞

「カメレオンちょう上をめざせ」

河村 慶弥 (船橋市・小4)
 躊躇なく切り抜いて仕上げた、子どもらしいおおらかさが画面全体から感じられます。足やしっぽの表情、カメレオンの風貌など図鑑に出てくるようなリアルな表現ではないが、感覚的で独創的なフォルムが与えるインパクトは非常に力強く、魅力的です。特に頂上を目指す鋭く切れ長に描かれた眼差しはこの作品のすべてを語っています。また、原色ではない淡い黄色と緑の色紙を使うことによって、この絵がいっそう生きています。
●デンマーク大使賞

「おやすみなさい」

小松 幸子(船橋市・48才)
 画面の隅々まで克明に切り込まれた作品は見応えがあり、圧巻です。一本の幹に茂った葉っぱの中に宿る生命が遊び心を持って表現されています。バランス良く金を散りばめ、着物の柄を連想させる全体のデザインは工芸的でありながら、マンガチックな鳥たちとの取り合わせが何とも可愛く、作者独自の世界を作っています。
●オーデンセ市賞

「赤い靴」

荒井 仁志(松戸市・18才)
 二つ折りにして切り抜いた後、開いてさらに切り込みを追加する技法はアンデルセンも好んで用いています。それによって、シンメトリーではあるがページをめくる動きのある効果が現れ、物語の続きを予感させる期待感を見る者に抱かせます。黒と白の明確な配色、スポット的に配置された赤い靴、木版画を思わせるモダンなデザイン性は、アンデルセン童話をテーマにした作品の中でも群を抜き、豊かなセンスを感じさせる素晴らしい作品です。
●ティンダーボックス賞

「雪の中でたたかうりゅう」

長谷川 明(千葉市・小3)
 それぞれに違った表情を持つ三頭の竜と人間たち。躍動感のある大胆な造形はダイナミックに画面を支配し、ストレートに見る者に迫って来ます。また、四角や三角を散りばめた雪の表現も効果的です。竜と人間が引き起こす物語を自由に想像する時、たくさんのストーリーが絵の中から聞こえてくるようです。造形性とドラマ性が融合した、子どもらしい傑出した作品です。
●船橋市長賞

「白鳥」

岡田 守弘(東京都・18才)
 黒色の台紙のほとんどを3色の色紙で埋め尽くした作品は、計算された卓越した構想力を感じます。流れるような羽の曲線、淡いモノトーンに抑えられた色調からは、白鳥の清らかな雰囲気が優しく伝わってきます。また、羽をもたげ包み込む白鳥を、色調とは対照的に画面全体に堂々と配したレイアウトは、ラストシーンに相応しい、劇的な印象を作り上げています。
●船橋市教育長賞

「つながり」

緒方 和奏(八千代市・中1)
 ブレーメンの音楽隊にしてはどういう訳か1匹多いようですが、自由に、のびのびと切り紙の楽しさが伝わってくる作品です。明暗のコントラストがないために、色彩の輝きの中にいるようなイメージを画面が発しています。動物や人間たちのフォルムは無邪気に楽しく、凹凸の紙やギザギザのフレームも雰囲気を高めています。
 
     
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●優秀賞

「夜の町」

武井 萌(船橋市・小5)
 夜の街並みの風景と水面に投影されたその影が、二つ折りという切り紙の技法を使って見事に表現されています。台紙や色紙の配色は美しく、部分的に配されたセロハン素材の扱い方も効果的で、画面全体に漂うメルヘン的な雰囲気をいっそう高めています。このようなタイプの応募作品が多い中、この作品は際立って作者の優しく、自然な感性を素直に感じ取ることができます。
●優良賞

「夕がたのハワイ」

鎌田 絵里奈(船橋市・小5)
 夕日が沈むシーンを、切り紙を影絵的に用いて、象徴的に表現されています。使った色紙の暖かい配色は、響き合ってとてもきれいです。また、黒のシルエットの効果的なコントラストもさわやかな印象を与えています。比較的単純な図柄ですが、海、波、太陽の自然な光が、画面からキラキラと輝いて見えます。
●優良賞

「森の神様」

長谷川 智(船橋市・小3)
 折った紙を自由に切って現れる造形の偶然の面白さや楽しさをあらためて感じます。三重に重ねられた造形はお互いが影響し合い、形や色の美しいハーモニーを作っています。「森」や「神様」のイメージも概念に囚われることなく、自由な広がりを感じさせてくれる作品です。
●優良賞

「真夜中の空」

薄井 康輔(八千代市・小5)
 夜空に浮かんだ大きな星と切り刻んで作った無数の星屑が見方によってはこちらに流れて来るようにも見えるからおもしろい。具象的な形はなく、図形的で抽象的な色や形のイメージが画面いっぱいに広がり、自由で、楽しい世界を作っています。
 
     
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●優秀賞

「shine fairy(輝く 妖精)」

本間 菜月(船橋市・中1)
 抵抗感のある厚手の紙に細かく切り込みを入れ、中学一年生とは思えないハイテクニックな技巧に驚きます。わずかに輝きを放つ星屑の繊細さ、浮遊する妖精の可憐な姿には作者のイメージする世界の強いメッセージが込められています。色味を廃した白と黒の世界は、一層それを引き立てています。
●優良賞

「物語の始まり」

酒井 瑞穂(船橋市・中3)
 童話を考えるアンデルセンの姿が、シルクハット、本、椅子のシンプルな出で立ちで表現された作品は、切り紙ならではの素晴らしさをあらためて感じさせてくれます。シックな茶色の空間は昔を偲ばせ、膝の上に開かれた書物はそこだけ「ネガ」で切ってあるため、感動的でいつまでも余韻を残しています。色や形を多用することだけが表現ではないと言うことを創造の原点として肝に銘じたい。
●優良賞

「孤独のバラ」

高橋 里沙(船橋市・中1)
 わずかな凝縮した要素でつくる切り紙の長所を体感的に理解している作品です。バラの花と波紋。それぞれが持つ表情の悲しみの表現は、卓越しています。余計なものを削ぎ落とした後の色と形は、こんなに美しいものかとあらためて感じずにはいられません。
●優良賞

「不思議の国のアリス」

遠藤 歩(船橋市・中3)
 物語に登場する幾つかのモチーフが丁寧に切り抜かれ、「不思議の国のアリス」の世界がファンタジーに表現されています。ダリの作品に出てくるような時計、丁寧に切られた楽器を吹くウサギ、マジックを掛けるアリスなど、それぞれの描写もさることながら、画面全体の構成力が特に秀でた、レイアウトの大切さを教えてくれる作品です。
 
     
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●優秀賞

「猫さん何匹だぁ〜?」

井上 瑞穂(東金市・67才)
 大きな猫の中に複数の子猫で構成された作品からは、綿密に計算され、卓越した技術力を感じることができます。仰向けの猫のポーズ、ポジとネガの調和、アクセント的に配された色彩など、随所に工夫が隠され、全体から受ける印象も強いメッセージと説得力を感じます。
●優良賞

「大切なもの」

水野 初恵(船橋市・51才)
 切り紙の二つ折りの手法を使って、全体をシンメトリーに構成しています。画面左右のバランスがそのまま自然界の思いやりの天秤(バランス)というウイットに富んだ設定になっています。また、そこに宿る住人たちのフォルムも、一つひとつが通り一遍ではないクオリティーを持ち、培ってきた実力を感じます。コミカルでエスニック感漂う色彩は、さらにこのメッセージの意味を効果的に伝えています。
●優良賞

「りんごの木」

斉藤 由紀子(船橋市・34才)
 トレーシングペーパーのテクスチャー(風合い)を持つ新素材を積極的に活用し、色の重なりが効果的でとてもきれいです。シンメトリーの木に成るりんごの配置は、わずかに変化を持たせる工夫が見られ、楽しさや可愛さのイメージを強調しています。単純化された作品は明快なデザインの魅力を再認識させてくれます。
●優良賞

「月と花たち」

箕浦 照代(船橋市・64才)
 浮かんだ月に花たちが集まるイメージは新鮮で、ファンタジーの世界へ誘ってくれます。カラフルな色彩を拒絶した「青」の色は深くて美しく、地の「白」も一段と気品を帯びて見えるから不思議です。この作風はマティスがたどり着いた切り紙にも通じ、沖縄の紅型模様(伝統的型染め)の雰囲気も背後に見え隠れします。台紙からわずかに浮いた張り方も新鮮な効果を実感できる作品です。